なぜ地域の素材がものづくりに選ばれるのか

2020年に THREE R PROJECT が始まってから、私たちは愛知・名古屋で素材をノベルティに変える取り組みを続けてきました。地域の素材がものづくりに選ばれる理由は、環境への配慮だけではありません。作ったものが「どこの何から来たのか」を渡す相手に届けられる、そこが選ばれる核心です。
地域素材のものづくりが広がる社会的背景
「SDGsに取り組みたいけれど、何から始めればいいかわからない」という声を企業の担当者から耳にする機会が増えています。
2015年に国連でSDGsが採択されて以降、国内でも企業の持続可能な取り組みへの関心は年々高まってきました。2020年には日本政府が2050年カーボンニュートラルを宣言し、ESG経営の浸透とともに、調達素材の出どころや環境負荷を問う動きが一層広がっています。
こうした流れの中で注目されているのが、地域で余った素材をものづくりに活かす取り組みです。農産物の加工残渣、林業から生まれる端材、地場産業の副産物を活かしきれずにきた企業や自治体が、地産地消を軸にしたものづくりへの可能性を探るようになっています。
完成品を仕入れて配る一般的なノベルティと違い、地域素材から始めるものづくりには「背景」が生まれます。素材がどこから来たのか、誰の手が加わったのかが、作ったものと一緒に届けられる。それが選ばれる理由の根にあります。
1914年に美濃和紙を扱う家業として創業し、110年以上名古屋でものづくりを続けてきた私たちにとって、素材の持つ意味を大切にすることは事業の根にある姿勢です。
愛知・名古屋で素材がノベルティに変わるまで
THREE R PROJECTは、2020年に私たちが始動させたアップサイクル事業のプロジェクトです。愛知・名古屋に根ざした素材をノベルティへと変えることを軸に、地域の資源に新しい出番を作ってきました。
このプロジェクトの中心にあるのがre:Rezin(リレジン)です。間伐材の端材と、お茶・コーヒー・木くず・おから・竹炭・竹といった食品残渣を樹脂に配合したバイオマスプラスチックで、タグラインは「自然と生きるプラスチック」。配合した分だけ石油プラスチックの使用量を減らせる素材として、コースター・ボールペン・定規・ホイッスルなどのノベルティに使われています。
一般的なエコグッズは、環境配慮を謳う完成品を仕入れて配ることが多いです。地域の素材から始めると、素材の出どころ・加工の流れ・関わった人たちの背景が、グッズと一緒に手元に届きます。そこが持つ意味の差になります。
THREE R PROJECTでは産学連携にも取り組んできました。地元の金城学院大学との連携では素材と製品の可能性を研究し、愛知商業高校の生徒たちがデザインに加わった事例も生まれています。担当の伊藤はこう話します。「楽しみから広げていく、という気持ちが出発点です。素材の面白さを感じてもらってから、そこに意味が加わる。そういう順番が大切だと思っています」
地域素材のものづくりが生む経済と環境の循環
完成品を外から仕入れる場合、素材の出どころや加工に関わる人が、地域の外にいることがほとんどです。地域の素材を使う場合は、受け取りから加工、製品化までの一部が地域内で動きます。農業や林業から素材を受け取り、地域の協力者が加工に関わることで、製品の背景に地域内での経済の循環が生まれます。
環境への影響という面では、石油プラスチックの使用量を有機物の配合分だけ減らせることに加えて、焼却や埋め立てに向かっていた素材に、新しい用途が生まれます。
私たちが「もったいない」を言葉の出発点にするのは、罪悪感からでも義務感からでもありません。「この素材、こうなったらおもしろい」という発想から始まるからこそ、受け取る側にも伝わるものができます。
SDGsを掲げることと、実際に素材に向き合うことは、向かっている方向が同じでも、動き始める場所が違います。その違いが、手渡したときに相手に伝わるものの重さにも表れます。
地域の素材が製品になることで伝わること
地域素材を使ったノベルティは、配った後に会話が続きやすい。「これはどんな素材ですか」という問いが自然に生まれ、渡した側の姿勢が伝わっていきます。「環境のために作りました」と説明しなくても、素材の出どころが届けば、それだけで意味が伝わります。
THREE R PROJECTを通じて関わってきた学校・企業・地域の協力者との取り組みは、製品の完成で終わりません。次の相談が来て、また別の素材に出番が生まれる。この繰り返しが、地域のものづくりが持続していく理由だと私たちは考えています。
「うちの素材でも何か作れるだろうか」という問いがあるとすれば、その答えは一緒に探せます。御社で余っている素材に、出番を作ることが私たちのできることです。
よくある質問
Q. 地域の素材を使ったものづくりとはどういうものか?
農林業の副産物や企業で余った素材をノベルティや製品の原材料として活かすものづくりです。完成品を仕入れて配るのではなく、素材の出どころが分かるグッズを作ることで、受け取った相手に地域の取り組みを届けられます。2020年代に入ってSDGsやESGの浸透とともに、企業や自治体での導入が増えています。
Q. 愛知・名古屋ではどのような素材がノベルティの材料として使われているのか?
THREE R PROJECTでは、お茶・コーヒー・木くず・おから・竹炭・竹の6種類の食品残渣と間伐材の端材を主な素材として使っています。これらをre:Rezin(リレジン)と呼ぶバイオマスプラスチックに配合し、コースター・ボールペン・定規・ホイッスルなどのノベルティに仕上げています。
Q. THREE R PROJECTとはどのような取り組みか?
2020年に株式会社タイヨーが始動させたアップサイクル事業のプロジェクトです。愛知・名古屋の地域素材をノベルティに変えることを軸に、バイオマスプラスチックre:Rezinの開発・製品化を進めています。金城学院との産学連携や愛知商業高校の生徒によるデザイン参加など、教育機関との協力も行っています。
Q. 地域の素材で作ったグッズはSDGsにどうつながるのか?
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」や目標15「陸の豊かさも守ろう」との関連が高く、石油プラスチックの使用量を有機物の配合分だけ削減できます。焼却や埋め立てに向かっていた食品残渣や端材に新しい用途が生まれる点も環境負荷の軽減につながります。特定の認証取得なしに、素材の事実だけで取り組みを伝えられることも実用的です。


