鉄道会社の制服がノートに変わるまで

ある鉄道会社が制服を一新した際、役目を終えた旧制服の生地が私たちのもとへ届きました。その生地は、A5サイズのノートの表紙として生まれ変わりました。
ファブリックネクストが手がけた、1冊のノートができるまでの過程をご紹介します。
役目を終えた制服に次の舞台があった
企業が制服を新しくするとき、旧制服の行き先は後回しになります。新しい制服を全員に配ることで作業は完了し、返ってきた旧制服は段ボールにまとめられて倉庫に積まれます。
捨てるには惜しいという気持ちもあります。丈夫な生地で、会社のロゴや色が入っています。何年も現場で着続けられた素材には、簡単には手放せない重みがあります。かといって、これを何かに生かす方法を考えることは、普段の業務にはありません。どこへ相談すればいいのかも分かりません。
担当者の頭の中にあるのは、「これ、なんとかならないか」というシンプルな悩みです。答えが見えないまま、倉庫の棚が埋まっていきます。
企業が制服を更新する間隔はさまざまですが、従業員が多い企業では、一度の更新で大量の旧制服が一斉に戻ってきます。鉄道会社であれば、乗務員や駅員の人数分だけ旧制服が余ります。保管するにも場所を取り、廃棄するにも費用と手間がかかります。これを単に「コスト」として片づけるのではなく、素材として活かす方法を探す企業が増えてきました。
近年、役目を終えたユニフォームをアップサイクルの素材として活用したいという問い合わせが増えています。廃棄を選ばない判断が、企業のブランドと重なる場面も出てきました。自社の素材を製品に変えて配ることが、会社の姿勢を伝える手段になるからです。
私たちのもとへ届く相談は、「余っているのですが、何かできますか」という質問から始まることが多いです。ある鉄道会社の担当者からも、制服更新のタイミングで連絡をいただきました。旧制服の生地を活かす方法を探していたのです。
ファブリックネクストが制服をノートの表紙に変えた
私たちが「ファブリックネクスト」と呼ぶのは、布素材のアップサイクルに特化した取り組みです(アップサイクルとは、使い終わった素材に新しい価値を加えて、別の製品にすることです)。スマートアップサイクルの一部として、シートベルトの端材・カーシートの生地・ユニフォーム・デニムなど、布にまつわる素材を幅広く扱っています。
これまでに、シートベルトの端材は耐荷重1.5tという丈夫さを活かしてポーチやペンケースになりました。カーシートの生地はIDカードケースになり、コーヒー豆の麻袋はカフェのテーブルになりました。素材ごとに特性が異なるため、その特性を見ながら使い道を探します。
弊社では新しい素材が届いたとき、どんな製品になれるかを、まず面白いと思える方向から探します。仕様書を先に書き始めるのではなく、素材の手触りや色を確かめながら、発想を広げていきます。
最初から「ノートにする」と決めて取り掛かることは、ほとんどありません。素材を触って、重さを感じて、どんな製品のどの部分に使えるかを考えます。その中で、一番しっくりくる形が見えてきます。鉄道会社の制服の場合は、生地の厚みを活かして表紙にするのが自然でした。
鉄道会社の制服生地を手にしたとき、最初に感じたのは生地の厚みでした。乗務員が毎日着る制服は、耐久性を前提に作られています。長く形を保つよう作られた生地は縫い目がしっかりしており、加工後も形が崩れにくい。その特性が、ノートの表紙に向いているのではないかと考えました。
生地はノートのサイズに合わせて裁断し、表紙に縫い合わせて完成します。制服のどの部分を使うかによって、色合いや織り方が少しずつ変わります。1冊ずつ表情が変わり、まったく同じものはありません。
完成したのはA5サイズのノートで、表紙全体を制服の生地が覆う仕様にしました。生地の色はそのままで、テクスチャーが手のひらに伝わります。ノートを開く前から、何の布だったのかが分かる仕上がりになりました。
素材の量には限りがあるため、同じシリーズを無限に増やすことはできません。数が限られているという事実が、製品に固有の意味を与えます。
物語のあるノベルティは受け取った瞬間が違う
ノベルティをもらっても、記憶に残らないことがあります。手元にあっても、どこでもらったのかを忘れてしまう。逆に、手にした瞬間から記憶に残るものもあります。
その差は、「話が添えられるかどうか」にあります。このノートを渡すとき、「うちの制服から作りました」という一言が言えます。それだけで、受け取る側の感じ方が変わります。ものとして渡しているのではなく、その会社が現場で積み重ねてきた時間の一部を渡しているからです。
渡すものが変われば、渡すときの会話も変わります。「これは何の布ですか」と聞いてもらえる機会が生まれ、そこから会社の話ができます。ノベルティが会話の入り口になります。数の限られた配り物には、そういう力があります。
企業がノベルティを選ぶとき、デザインや実用性と並んで、「どこから来た素材か」を意識する場面が増えています。外から仕入れたグッズではなく、自社から生まれたものを手渡す。その違いが、受け取る側に届くものを変えます。
同じ素材で作れるノートには限りがあります。旧制服の生地を使い切れば、そのシリーズは終わります。数が限られているという事実が、受け取った側の記憶に残る理由の一つになります。配った数の分だけ、会社の話が広がっていきます。
ファブリックネクストで対応できる製品は、ノートだけではありません。ユニフォームからはA5・B6両サイズのノートや、御朱印帳カバーも作れます。素材と使い道の組み合わせは、届く素材によって変わります。
こうした取り組みに、大がかりな準備は必要ありません。相談は、「これ、なんとかなりますか」で十分です。余っている素材を見せていただき、使い道を一緒に考えます。鉄道会社の制服がノートになったように、倉庫に眠っている素材が別の何かになる道は、思っているより近くにあります。
よくある質問
Q. 鉄道会社の制服はどのようにしてノートになりますか
届いた制服生地をノートのサイズに合わせて裁断し、表紙に縫い合わせて完成します。制服のどの部分を使うかによって色合いや織り方が少しずつ変わるため、1冊ずつ表情が異なります。完成品はA5サイズで、表紙全体を制服の生地が覆う仕様になります。生地の色はそのままを活かしています。
Q. 企業の余った制服をアップサイクルの素材として活用できますか
はい、対応できます。ファブリックネクストでは、制服・ユニフォーム・シートベルトの端材・カーシートの生地・デニムなど、布にまつわる素材を幅広く扱っています。まず余っている素材を見せていただき、その特性に合った製品を一緒に考えます。特別な加工が必要な素材でも、まず相談いただくところから始められます。
Q. 制服から作ったノートはどんな場面で使われますか
取引先への挨拶品や周年記念のノベルティとして使われることが多いです。「うちの制服から作りました」という話が添えられるため、受け取った相手の記憶に残りやすいノベルティになります。また、旧制服の生地で作れるノートには限りがあるため、数が限られていることが希少性につながり、特別感のある配り物になります。
Q. ファブリックネクストとはどんな取り組みですか
ファブリックネクストは、布素材のアップサイクルに特化した株式会社タイヨーの取り組みで、スマートアップサイクルの一部です。シートベルトの端材(耐荷重1.5t)をポーチ・ペンケースに変えた事例をはじめ、カーシートの生地からIDカードケース、ユニフォームからA5・B6サイズのノートや御朱印帳カバーまで対応しています。余っている布素材の相談を承っています。


