コロナ禍で仕事が止まってから始めたパーテーションの新事業

私たちがアップサイクルに取り組むようになった出発点は、コロナ禍で縁日やイベントの仕事が一気に止まった時期にあります。アップサイクルとは、余った素材や使い終わったものにデザインやアイデアによって新しい価値を加え、別の製品に作り変えることです。

予定が次々になくなる中で、空いた時間と設備を使って始めたのが、アクリルパーテーション(感染対策のために机や窓口に設置する透明な仕切り板)の製作でした。名古屋の株式会社タイヨーのアップサイクル事業は、そこから始まっています。

縁日もイベントもなくなった

私たちはもともと、企業や店舗のノベルティと、縁日グッズやイベントの景品、おもちゃを手がけてきました。このうち縁日やイベントの商品は、夏祭りや地域の催し、企業のイベント、学校行事など、人が集まる場所で使われるものです。

2020年になると、そうした人が集まる機会が一斉になくなりました。予定されていた催しは中止や延期となり、決まっていた仕事も次々に止まりました。人が集まらなければ縁日やイベントは開催できません。集客に使うグッズの仕事はほぼゼロになりました。

この先、会社はどうなるのか。いま自分たちが手を動かせる仕事は何か。仕事が戻るのをただ待つのではなく、いまの自分たちにつくれるものは何かを考える。新しい取り組みは、そこから始まりました。

最初につくったのはパーテーション

仕事が減る中で最初に取り組んだのが、アクリルパーテーションの製作でした。当時、感染対策に使う仕切り板はさまざまな場所で不足していました。オフィスの机、店舗のレジ、受付のカウンターなど、人と人の間に仕切りを設けることで、少しでも安心して過ごせる環境が求められていました。

ものづくりを続けてきた会社として、いま役に立てるものはこれだと考えました。

最初から無理だと決めつけず、何とかできるかもしれないと考えてみる。いまも大切にしている姿勢です。前例のない相談を受けたときも、すぐに断るのではなく、まずはつくる方法を探します。アクリルパーテーションの製作も、そのようにして始めた取り組みでした。

紙や樹脂を加工してきた技術があったため、仕切り板の製作にも比較的早く取り組めました。必要な数をつくって届ける仕事を続ける中で、このような疑問が生まれました。「この仕切り板は感染対策が終わったあと、どのように処分されるのだろうか」

そのパーテーションはどこへ行くのか

2023年に新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行すると、店頭や窓口で見かけたアクリル板は少しずつ姿を消していきました。

使い終わったアクリルパーテーションは、そのまま処分されることが多く、廃棄するにも費用がかかるため、行き先に頭を悩ませる企業もありました。

私たちは、使い終わったアクリル板を廃棄せずに引き取り、再生アクリル(使い終わったアクリルを砕き、再び成形できる状態にした素材)へ加工しています。再生アクリルにすることで、さまざまな製品に作り変えられます。

例えば、アクリルスタンド、キーホルダー、飾って使うアートボード、店頭に設置するショーケースです。感染対策のために使われていた仕切り板を、日常で使える別の製品に作り変え、再び手元へ届けられます。

この再生アクリルは、折り鶴アップサイクル「平和のバトン」でも使われています。広島・平和記念公園に寄せられた折り鶴を、そのままの姿で再生アクリルのキーホルダーに納める取り組みです。外部からの相談をきっかけに立ち上がった、未来と平和の製作委員会が手がけています。仕切り板として使われていたアクリルが、平和への願いを伝える製品の一部にもなりました。

3Rプロジェクトのはじまり

アクリルパーテーションを製作し、使用後の使い道まで考える。この取り組みをきっかけにアップサイクル事業が始まりました。2020年に立ち上げたのが3Rプロジェクトです。

同じ年には、もう1つの取り組みも始めています。間伐材の端材(製品をつくる際に出る余りの素材)や食品残渣を樹脂に混ぜた、バイオマスプラスチック「re:Rezin(リレジン)」の開発です。混ぜた分だけ石油からつくるプラスチックの使用量を減らせます。廃棄される予定だった自然由来の素材を、製品の材料として活用する取り組みです。

いまは、こうした取り組みを「Smart Upcycle」としてまとめ、素材の特徴に合わせて製品を作り分けています。布であれば、車のシートベルトの端材をポーチに。樹脂であれば、豆腐のパックやおからを定規に作り変えます。どれも、企業や店舗が配るノベルティ(販売促進や記念のために配るオリジナルグッズ)になります。

どの取り組みも出発点は同じです。余った素材を、別の製品として活用できないか。その問いをもとに、扱える素材の種類を広げてきました。

110年の加工技術が土台にある

余った素材を別の製品に作り変えられるのは、私たちが長年ものづくりを続けてきたからです。美濃和紙を扱う家業から始まり、紙の加工、トランプ、ノベルティへと、110年にわたり製品をつくってきました。

素材の特徴を見極める経験と、さまざまな加工方法についての知識があります。そのため、初めて扱うアクリル板でも、粉砕し、再び成形して別の製品に仕上げるまでの工程を組み立てられます。

余った素材は量も状態も案件ごとに異なります。同じ方法をそのまま使えるとは限らないため、1件ごとに適した作り方を考えます。その手間を引き受けてきたことで、扱える素材の種類が増えていきました。

アップサイクルそのものは2020年に始めた新しい取り組みです。しかし、それを製品として形にする技術や経験は、長年続けてきたものづくりの中で培われてきました。

「何とかなるかも」から始まった

仕事が止まったとき、私たちは何もせずに待ち続けたわけではありません。いま自分たちがつくれるものを探し、つくったものが使われなくなったあとの使い道まで考えました。そうして始まったのがアップサイクル事業です。

無理かもしれないと思うことでも、まずは相談を受け、実現する方法を考えてみる。そこから新しい製品が生まれます。

御社で余っている素材も、どのような製品に変えられるのか。まずはご連絡ください。

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よくある質問

Q. 3Rプロジェクトとは何ですか

A. 私たちが2020年に立ち上げた、余った素材や使い終わったものを別の製品に作り変える取り組みです。使い終わったアクリル板を引き取って再生アクリルにするほか、間伐材の端材や食品残渣を樹脂に混ぜたバイオマスプラスチック、re:Rezinの開発も進めています。

Q. 使い終わったアクリルパーテーションは、何に作り変えられますか

A. 砕いて再生アクリルにすることで、さまざまな製品に作り変えられます。例えば、アクリルスタンド、キーホルダー、飾って使うアートボード、店頭に置くショーケースです。感染対策に使われていた仕切り板を、日常で使える別の製品として再び手元へ届けられます。

Q. アクリル以外の素材でもアップサイクルできますか

A. できます。布であれば、車のシートベルトや制服の端材から、ポーチやバッグ、ノートの表紙をつくってきました。ほかにも、樹脂の端材、ワインコルク、木くずやコーヒーかすを扱っています。素材ごとに向いている製品が変わるので、まずは何がどのくらい余っているのかをお聞きします。

Q. 余ったアクリルパーテーションは、どのくらいの量から相談できますか

A. まとまった量があるほど製品にしやすくなりますが、量や板の状態によって向いている製品は変わります。まずは、どのくらいの枚数がどのような状態で余っているのかをお知らせください。その内容に合わせて、アクリルスタンドやキーホルダーなど、適した製品をご提案します。