車のシート端材は入館証ケースに変えられる
自動車のシートをつくる際に出る生地の端材は、名古屋の株式会社タイヨーで、社員が毎日首から下げて使う入館証ケースに作り変えられました。
すり切れにくいシート生地は、毎日手に取ったり首から下げたりする道具に適しています。余った生地をその会社で再び活用できます。
使われずに残った生地が、どのように入館証ケースへ変わるのか。その流れをご紹介します。
なぜシートづくりで生地の端材が出るのか
自動車のシートは、体を包み込む曲面に合わせて生地を型どおりに切り出してつくられます。
四角い布から曲線状のパーツを切り出すと、その周囲には必ず使わない部分が残ります。これが端材です。端材とは、製品をつくる際に出る余りの素材のことです。製造するシートの数が多いほどまとまった量になります。
シート生地は、車内で毎日こすれても傷みにくいよう厚く丈夫に織られています。そのため、捨ててしまうにはもったいない素材です。とはいえ、そのまま使える場面があるとは限りません。まとめて廃棄するか、原料に戻すリサイクルに回すか、そのどちらかになります。
自動車関連の工場から出る端材は、シートベルトだけでも年間90トンにのぼります。私たちはこうした素材をお預かりし、別の製品へ作り変えています。使い道が決まっていない素材ほど、どのような製品にできるかを考える余地があります。
丈夫に織られた布は毎日使う道具に
お預かりしたシート生地からつくれる製品の一つが入館証ケースです。社員証やICカードを入れて、首から下げて持ち歩くケースです。
オフィスの入り口で毎日使う道具を、自社から出た素材で用意できます。同じ生地は名札を入れるネームホルダーにもなります。
このように余った素材を別の製品へ作り変えることを、アップサイクルと呼びます。アップサイクルとは、余った素材や使い終わったものにデザインやアイデアによって新しい価値を加え、別の製品に作り変えることです。
原料に戻して再生するリサイクルとは、方法や目的が異なります。粉砕して原料に戻すのではなく、丈夫な布のまま裁断し、毎日使う道具につくり直します。
同じように布のまま使える素材はほかにもあります。例えば、車のシートベルトの端材からは耐荷重1.5tのポーチをつくってきました。制服やユニフォームの端材から、トートバッグやノートの表紙をつくった例もあります。
いずれも、もともと丈夫につくられた布です。毎日握ったり下げたりして使う道具ほど、こうした布が向いています。
端材が入館証ケースになるまで
入館証ケースになるまでには、いくつかの工程があります。
最初に、お預かりした生地を色や状態ごとに選別します。シートづくりで出る端材は、色も厚みも大きさもそろっていないためです。製品に使える部分を見極めるところから製作が始まります。
次に、入館証ケースの形に合わせて裁断し、縫い合わせます。入館証ケースは、カードを何度も出し入れし、首から下げたまま持ち歩く道具です。毎日その使い方に耐える必要があります。
ただし、生地の厚みや傷み具合によってつくれる製品は変わります。厚手ならバッグのような大きなものにも向きますが、薄ければ小物のほうが向くこともあります。素材に合わせて適した製品を選びます。
そのため、まずはどのような端材が出ているのかをお伺いするところから始めます。
自社の端材から自社の入館証ケースをつくると
サステナブルな取り組みが広がり、自社から出る端材の使い道を探す会社が増えています。シート生地を自社の入館証ケースに変えれば、捨てていた素材が毎日使う備品になります。
社員が毎朝首から下げる入館証を、自分たちがつくるシートの端材から製作できます。来客がそのケースを目にしたときに、「この生地はどこから来たのか」という話題も生まれます。
捨てる予定だった生地が、会社を表す道具として毎日使われます。「もったいない」の先にある使い道として、私たちの考え方をわかりやすく伝えられる形の一つです。
自社の素材からつくれば、配布するノベルティ(企業や店舗が販促のために配るオリジナルグッズ)や記念品にも、何からつくったものかを一緒に伝えられます。ほかから仕入れた製品ではなく、自分たちの事業から生まれたものとして手渡せます。同じ入館証ケースでも、受け取る人に伝わる内容が変わります。
捨てるはずだった生地が毎朝首から下がる
自動車のシートづくりで出る生地の端材は、選別し、裁断して縫い合わせることで、社員が毎日使う入館証ケースになります。
社員が身につけるのは、自分たちでつくった生地からできたケースです。首から下げたものを聞かれれば、この生地は自社でつくっていると答えられます。自分の会社の話をできる持ち物がひとつ増えます。
私たちは110年にわたり、紙、トランプ、ノベルティと、さまざまなものづくりを続けてきました。布からつくる入館証ケースも、そのものづくりの延長にあります。
何をつくるかは素材だけでは決まりません。販促で数を配るのか、来客に渡すのか、社内で使うのか。目的をうかがったうえで、思っていたものとは別の案をご提案することもあります。
御社でシート生地の端材を保管しているのであれば、まずはご連絡ください。どのような製品に作り変えられるのか、ご提案します。
よくある質問
Q. 車のシートの端材は何に作り変えられますか
A. 色や状態ごとに選別し、裁断・縫製することで、社員証を入れる入館証ケースやネームホルダーに作り変えられます。ほかにも、車のシートベルトの端材を使った耐荷重1.5tのポーチや、ユニフォームの端材を使ったトートバッグ、ノートなどを手がけています。
Q. アップサイクルとリサイクルはどう違いますか
A. アップサイクルとは、余った素材や使い終わったものにデザインやアイデアによって新しい価値を加え、別の製品に作り変えることです。原料に戻して再生するリサイクルとは、方法や目的が異なります。シート生地の端材を、丈夫な布のまま裁断して入館証ケースにすることがその一例です。
Q. シート生地の端材は、どのくらいの量から相談できますか
A. まとまった量があるほど製品にしやすくなりますが、端材の量や生地の状態によって適した製品は変わります。まずは、どのような端材が、どのくらいの量で、どのような状態で出るのかをお知らせください。その内容に合わせて、入館証ケースやポーチなど、生地に適した製品をご提案します。
Q. シート生地以外の端材でも相談できますか
A. 相談できます。布であれば、車のシートベルトや制服・ユニフォーム、デニム、コーヒー豆の麻袋などを製品にしてきました。布以外にも、樹脂の端材や使用済みのアクリル板、ワインコルク、木くずやコーヒーかすを扱っています。どの素材がどの製品に向くかは、出る量や状態によって変わります。


