アクリルパーテーションがアートに変わった話

2023年に新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行すると、店頭や窓口に並んでいたアクリルパーテーションは少しずつ姿を消していきました。廃棄するにも費用がかかるため、行き先に頭を悩ませる企業も出てきました。私たちはそのアクリルを素材として、アートやキーホルダーに変えてきました。使われなくなった素材が何に変わるかは、発想次第です。

コロナ後のアクリルパーテーションに行き場はなかった

コロナ禍で、私たちが主力としていた縁日やイベント向けの集客グッズの仕事がほぼゼロになりました。そこで始めたのが、アクリルパーテーションの製造です。それまで企業や店舗向けのノベルティや縁日グッズを手がけてきた私たちは、学校や病院、飲食店の窓口などに設置する透明な仕切りを製造しました。

一時は需要が増え続けましたが、2023年を境に状況が変わります。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行すると、飛沫対策として設置されていたパーテーションが、少しずつ店頭から姿を消していきました。透明で丈夫なアクリル板は、一般的な方法で処分しようとすると費用がかかります。廃棄にも手間とコストがかかるため、処分先に困る企業が増えていきました。

私たちのもとにも、役目を終えた大量のアクリルが集まってきました。処分に困っている素材を、ただ廃棄するのではなく、何か別の形で活かせないだろうか。そう考えたことが、新たな活用方法を本格的に考えるきっかけになりました。

アクリルは、透明で硬く、割れにくいという特性を持つ素材です。パーテーションとしての役目を終えても、こうした特性が失われるわけではありません。ならば、その性質を別の製品や用途に活かせないか。私たちは、アクリルを廃棄物としてではなく、もう一度活用できる素材として捉え直すことにしました。

アート素材として使う

アクリルは、アート素材としても活用できます。「プラスチックネクスト」という取り組みでは、余ったアクリルをアート素材に加工してきました。

細かく砕いたアクリルには、独特の質感があります。着色して造形素材として使ったり、樹脂と混ぜて成型したりすることで、元の板とは異なる形で活用できます。アーティストや教育現場から問い合わせをいただくこともあります。透明で光を通す性質を活かす方法もあれば、砕いた粒の質感をそのまま活かす方法もあります。

また、同じ「プラスチックネクスト」の取り組みでは、粉砕したアクリルを防犯砂利として活用した事例もあります。透明や白のアクリルを細かく砕き、庭や通路に敷くことで、踏んだときに音が出る防犯砂利として使えます。使い終わったパーテーションが、建物の防犯に役立つ素材へと生まれ変わりました。

折り鶴を収めるキーホルダーに変わった

私たちが制作委員会として取り組む「おりづるネクスト」は、折り鶴をアクリル製のキーホルダーに収めたカプセルトイです。キーホルダーの素材には、余ったアクリルを活用しています。

このプロジェクトは、外部からの相談をきっかけに、「未来と平和の製作委員会」として始まりました。広島の平和記念公園に寄せられた折り鶴を、持ち歩ける形にして届けようという発想から生まれた取り組みです。

透明で硬く、割れにくいアクリルは、折り鶴を収めて守るケースに適した素材でした。パーテーションとして使われていたアクリルが、今度は平和への願いが込められた折り鶴を守るために活用されています。

2026年には、9都道府県10校以上の高校などが参加し、全54種類のキーホルダーなどが完成しました。全国のカプセルトイ専門店でも取り扱われています。廃棄されるはずだったアクリルが、新たな形で多くの人の手に届くようになりました。

余ったアクリルは発想次第で素材になる

アクリルパーテーションが必要とされなくなったとき、それを処分するものと考えるか、新たに活用できる素材と考えるかで、その後の選択肢は変わります。

私たちは、余ったアクリルをただ廃棄するのではなく、別の用途に活かせないかと考えてきました。透明で硬く、割れにくいという特性に着目したことで、アート素材や折り鶴を収めるキーホルダー、防犯砂利など、さまざまな活用方法が生まれています。

余ったアクリルパーテーションの処分や再利用にお困りの企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。活用できる方法は、アクリルの量や状態、サイズによって異なります。素材の特徴を踏まえながら、どのような使い道が考えられるか、一緒に検討します。

余った素材の活用でお困りのことがあれば、まずご相談ください。

よくある質問

Q. アクリルパーテーションはどんな製品にアップサイクルできますか?

アート素材・防犯砂利・アクリル製キーホルダーへの変換に取り組んできました。粉砕してアート素材や防犯砂利にする方法と、アクリルの形状を活かしてキーホルダーのケースとして使う方法があります。アクリルの量・状態・サイズによって向いている製品が変わるため、まず状況をお教えいただくと具体的な候補をお伝えできます。

Q. 余ったアクリルパーテーションを活用したい場合はどうすればよいですか?

まずご相談ください。アクリルの量・状態・サイズをお聞きしたうえで、製品化できる候補をご提案します。「何に変えたいか」の方向性があればそれを優先して考えますし、まだ決まっていない場合でも素材を確認してから方向を提示することもできます。写真と数量を事前にお伝えいただくと、最初のやり取りがスムーズです。

Q. タイヨーのアクリルアップサイクルはどういう仕組みで進みますか?

余ったアクリルをお預かりし、協力工場と組んで製品に変えます。粉砕してアート素材や防犯砂利にするのか、キーホルダーのケースとして形を活かすのかは、素材の量と状態を確認してから決めます。製品化したあとは、ノベルティとして配る・展示に使う・販売するといった用途に応じた提案もできます。何に変わるかのイメージを持っていただいてから、お預けいただく流れです。

Q. アクリルのアップサイクルと一般的なリサイクルは何が違いますか?

リサイクルは素材を原料として回収し、同種の素材や製品に再生する方法です。アップサイクル(余った素材を別の製品に作り変えること)は、デザインやアイデアを加えることで元のものとは異なる用途や価値を持つ製品に変えることを目指します。アクリルパーテーションをアート素材やキーホルダーに変えることは、素材の行き先を全く別の文脈に変えるという意味でアップサイクルにあたります。